「失敗は成功のもと」これは発明王とも呼ばれたトーマス・エジソンの言葉で「失敗すればするほど成功に近づいている」という意味です。また、テレビドラマの決め台詞で「私、失敗しないので」という言葉を聞いた方も多いと思いますが、失敗しないことは良いことなのでしょうか?お医者さんが失敗するのは困りますが実際には大人になるまでにたくさんのことを経験し失敗を繰り返したことで「理解」や「知識」が生まれ、それをもとに「考える」という行動が自然と出てくるようになるのです。
大人になったからといって失敗をしないとは限らず、失敗しないための知識が多い事で危ないことなどから回避しています。例えば私達大人は水たまりを見つけると避けて歩きます。それは水たまりに足を入れると服や靴が濡れたり汚れたりすることを子どもの時に経験しているからこその行動ですが、子どもは「水たまりに足を入れたら面白そう」という本能的な欲求のまま足を元気よく突っ込んだ結果、「楽しい」と思っていてもそのうち「びちゃびちゃで冷たい」「靴がぬれちゃった」と泣き出すこともあるでしょう。
これは経験しないと分からず、大人が「靴が濡れるから入っちゃダメ」と言葉で教えるよりも「入ると靴が濡れて不快な思いをする」ということを身をもって理解できるのです。
周囲の大人が忍耐強く「経験の繰り返し」に付き合ってあげることが必要です。「冷たかったね」「でもやりたかったんだね」と認めて上げる事で濡れない様にする方法を考え出すのです。子どもの気持ちに共感してあげましょう。嬉しいときは一緒に喜び、失敗したときには一緒に落ち込んであげてください。自分の気持ちを受け入れてもらえたことで益々意欲が湧いたり、自分の気持ちに折り合いを付けて立ち直ったり出来る力がつくはずです。「頑張ったね!」「偉い!」「すごいね!」など努力を誉めることで次への挑戦に繋がります。大人は子どもが失敗しないように先回りしがちですが、1回の経験だけですぐに物事を理解できるとは限らないということです。同じ事を繰り返すことでようやく覚えることが出来るのです。
子どもが好奇心を持って取り組んでいることは、危険なことでない限りやらせてあげてみてはいかがでしょうか?「間違えることは悪いこと」「恥ずかしいこと」などと思ったり大人になればなるほど失敗したくないものですが「失敗する経験」は「成功する経験」と同じくらい大切なのです。失敗を繰り返している子ども達を「ああやって成長しているんだな」と温かく見守っていきましょう。 (保育士・子育てアドバイザー 弟子丸)